12.川西達郎は生命保険の見直しをする

2021年5月16日

老夫婦

「ただいま~、どっこいしょっと。」と税理士事務所に行っていた花子さんが窯元清和に戻り、会計帳簿の風呂敷包みを事務机の上にドンっと置きました。

「おう、お帰り。どうや、柳先生元気やったか?」と達郎さんがろくろの手を止めて聞きます。
「元気げんき、80歳すぎとは思えんくらい。」
「そら良かった。」
「でも、こないだ車バックで運転してて、アクセルとブレーキ間違えて恐い思いした言うてたで。」
「年とってきたら運転はしんどいで。わしも目がついていかんから、運転が恐いわ。」とたわいもない会話が続きます。

「あっ、そうそう。先生が生命保険を今年から全部経費にして良いって。」
「それはどういうことやろな。」

 そこへ「リリリ~ン」と店の電話が鳴り、花子さんが受話器を取りました。
「ありがとうございます、有馬焼清和でございます。」とよそいきの声で出ます。
「ああ、宇治田保険さん。」と急に地声に戻りました。

 そして午後、保険代理店の宇治田さんの息子さんが来店します。
「こんにちわ!いつも父がお世話になってます。」
「僕、息子の恭太です。きょうは代わりで来ました。よろしくお願いします。」
と若者らしい元気な声が響きます。
「おお、大きなったな。久しぶりやな。もう大学出たんか。」
「はい、春に卒業して家の手伝いしています。」
「そうか、月日の経つのは早いもんやな。ここに座りなさいな。」と空いている事務机を指します。

「ありがとうございます。今日は川西様の生命保険の見直しのご提案に来ました。」
「ちょうど今日、税理士の先生から保険料を全部損金にして良いって言われたんやけど、どういうことなのか教えてや。」
「あっ、そうなんです。川西様のご加入頂いている長期平準定期保険が、保険期間の6割を超えたので損金で処理できるようになったんです。」と川西達郎様と書かれた生命保険のプランを机の上に広げました。

「川西様は46歳の時に30年満期でご加入頂きました。そして今年64歳で18年経過しております。」
「これまでは半分を損金、半分を資産で計上されておられましたが、今後は全額損金にできるようになりました。」
「また、半分資産とされていた分も分割して損金に出来ますから、法人税の節税ができます。」とここまで話して、花子さんが出してくれた有馬焼の茶碗の熱い玉露を一口すすりました。

「ただ、この長期平準定期保険には満期保険金がなく、解約返戻金(へんれいきん)もこのように徐々に少なくなってきます。」
「ですから、解約返戻金が多いうちに解約して、他の保険商品に変えられてはいかがかと思います。」と用意してきた台詞を全て言い切ってホッとしたのが顔に出ています。

「で、何に変えるのがお勧めなんや?」と達郎さんが問い返すと、
「えっと、それは、調べて持ってきます。」と急に慌てた声になりました。
「なんや、それを用意して来なあかんやんか。」

 恭太くんが慌てて帰ろうとするのを、お茶だけは全部飲めよと引き留めました。

「お父ちゃん、私うらやましいわ。」と花子さんが達郎さんに悲しそうに言います。
「なんでうちの子だけ、あかんねやろ。」

 二人はその晩は特に寂しい夕食に感じるのでした。

解説

 長期平準定期保険の法人税節税効果と退職金準備について学びましょう。

長期平準定期保険で法人税節税と退職金準備