15.山林開発計画の調査依頼

2021年9月8日

夜桜

「山林、ですか。」と伊勢信一郎が問い返します。
「山林を含めた地域を買収し、アミューズメント施設を作る計画があるらしいのだ。」と榊は伊勢の目をじっと見て言いました。
「まず実際にそのような計画があるのか、次にあるなら計画している者が誰であり、計画の内容と目的は何であるかまで分かる範囲で結構だ。」

 ほんの2~3秒ではありますが、しんとした時間がとても長く感じられます。
「榊先生のことですので、私の社員に危険が及ばないようにしていただいていると信じ、お受けいたします。」と、伊勢は表情を変えずに榊の目をじっと見返しながら返答しました。

「もちろんだ。何しろわしも娘を泣かすことはできんからな。」
「どうじゃ、あいつは役に立ちそうか?」と、榊はおもしろそうに聞きます。
「はい。私の望みました教育に造詣の深く、熱意を持つ人間です。もちろん、他の2名も、です。」と、伊勢も少し口元を緩ませて返答しました。
「実は、選ぶのに大分苦労した。正直、どれも無理やり引っこ抜いて来たようなものだからな。」と、榊はワハハと笑います。

「知れば、私はたいそう恨まれそうですね。実際、開設したばかりの小さなオフィスにあれだけの人材は来ないでしょうから。」
「うん、栗原くんは大日本生命の会長が将来社を担う人物だとかなり抵抗しおった。なにしろ保険は言わずもがな、統計学に強く難関のアクチュアリーを一発で通った頭脳明晰でもあり、しかもあの美貌で社交的と来とる。そりゃ、手放したくはないわな。また金田くんも素行に多少問題はあったが、ダイヤモンドサックスの稼ぎ頭であり幹部候補生だったからな。どちらも京帝大の選りすぐりの院生を何人か入れてやると言って納得させたが。」と、また面白そうな顔になります。
「坂元八造は、わしに言わせれば馬鹿だが、生一本じゃ。熱意を持ってやる時は実力以上のものを出すじゃろ。」
「ありがとうございます。大切に使わせていただきます。」と、伊勢は改めて頭を下げました。

「さっ、話はここまでじゃ。」と、パンパンと両手をたたいておかみを呼びます。置屋の芸妓も待ちくたびれていることでしょう。

解説

 不動産に対する権利を設定する上でも、その不動産の価値を評価する上でも重要な不動産の種類の分類を学びましょう。

不動産の基礎知識