2.有馬焼窯元の悩み

2021年4月20日

陶芸

 兵庫県神戸市北区東有馬町、六甲山系から北方に伸びる尾根筋に続く谷間に紅葉で有名な宝冠寺公園が広がり、その横を六甲北川が流れ、ほとりに皇室献上の陶器有馬焼窯元の大きな工房が建っています。有馬温泉にほど近いこの辺りは有名な炭酸せんべいができた炭酸水の地下水が流れ、篠山市の丹波焼窯元で修行した初代清和が炭酸水で独特の味わいを出す釉薬(ゆうやく)を作り、有馬焼と命名したのが最初でした。いまは三代目清和こと川西達郎が当主として守り継いでいます。

 三代目清和は窯元として伝統を継承することはもちろん、経営の才覚があったのでしょう。有馬温泉とタイアップして観光客の陶芸教室を開いたり、土産物品としても定着させて工房を大きくさせてきました。特に顔写真を陶器に入れるのが好評を博しています。

 初代有馬焼窯元は地元の地主であり、かつては尾根続きの山林から駅前までの広大な土地を所有していましたが、相続税の物納や固定資産税の納付、そして工房を大きくする設備投資のために良い土地はほとんど手放し、三代目当主の川西達郎の代では山林と工房の敷地のみが残っています。

 達郎は先代の弟子上がりで娘の婿養子として入ったのでした。今でも声が大きく元気で丸い奥さんに逆らうことはできません。といっても夫婦仲が悪いわけではなく、奥さんとはいつも一緒に工房で働いているのですが、経理は奥さんがしっかり握っておられます。いまは月に1度営業と称して外出し、宝塚歌劇に一人でこっそりとオペラグラス持参で行くのが唯一の楽しみです。

 達郎には2人の子供がいます。長女は心配しましたが去年何とか嫁に出しました。長男は芦屋市の私立大学を今春卒業した後、こねで東京の上場会社に入れました。

 もともと子煩悩であったのですが、特に長男は達郎が40歳過ぎに出来た男の子だったので可愛くて甘やかし放題し大変頼りない男に育ってしまいました。達郎と奥さんの夢は息子を跡取りにすることなのですが、今のままではとても任せられないと思い同級生だった東京在住の親友宅に息子を預けたのです。そして一人暮らしで他人の飯を食わせて鍛えられればと願っているのです。

解説

 あなたの夢は何ですか。まだ夢を追いかけていますか。今回は夢とお金の力と家族の抱える課題について学びましょう。

 人生の夢と家族の抱える課題