医師以外の医療法人理事長就任|国家戦略特区の規制緩和

医療法人の理事長

医療法人理事長のイメージ

 医療法第46条の6では、医療法人の理事のうち一人は、理事長とし、医師又は歯科医師である理事のうちから選出するとしています。また都道府県知事の認可を受けて一人の理事を置く医療法人については、当該理事を理事長とみなすとしています。つまり、理事長は医師又は歯科医師が就任する、これが原則なのです。ただし、都道府県知事の認可を受けた場合は、医師又は歯科医師でない理事のうちから選出することができると例外規定を設けています。

都道府県知事の認可

 厚生労働省医政局長が平成30年3月30日付で都道府県知事に医療法人制度の改正及び都道府県医療審議会について通知をしています。その中で医療法人の理事長についての都道府県知事の認可について基準を示しています。

(1) 法第 46 条の 6 第 1 項の規定の趣旨は、医師又は歯科医師でない者の実質的な支配下にある医療法人において、医学的知識の欠落に起因し問題が惹起されるような事態を未然に防止しようとするものであること。

(2) 同項ただし書の規定に基づく都道府県知事の認可は、理事長が死亡し、又は重度の傷病により理事長の職務を継続することが不可能となった際に、その子女が、医科又は歯科大学(医学部又は歯学部)在学中か、又は卒業後、臨床研修その他の研修を終えるまでの間、医師又は歯科医師でない配偶者等が理事長に就任しようとするような場合には、行われるものであること。

(3) 次に掲げるいずれかに該当する医療法人については、同項ただし書の規定に基づく都道府県知事の認可が行われるものであること。

①特定医療法人又は社会医療法人

②地域医療支援病院を経営している医療法人

③公益財団法人日本医療機能評価機構が行う病院機能評価による認定を受けた医療機関を経営している医療法人

(4) (3)に掲げる要件に該当する以外の医療法人については、候補者の経歴、理事会構成(医師又は歯科医師の占める割合が一定以上であることや、親族関係など特殊の関係のある者の占める割合が一定以下であること。)等を総合的に勘案し、適正かつ安定的な法人運営を損なうおそれがないと認められる場合には、都道府県知事の認可が行われるものであること。この場合、認可の可否に関する審査に際しては、あらかじめ都道府県医療審議会の意見を聴くこと。

(5) (3)及び(4)の取扱いに当たっては、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成 3 年法律第 77 号)第 2 条第 2 号に規定する組織の構成員又は関係者が役員に就任していないこと、また、就任するおそれがないことを十分確認すること。

都道府県医療審議会の意見

 大阪府の医療審議会の医師又は歯科医師でない者の医療法人理事長選出に係る認可相当とする基準をご紹介しましょう。

 「医師又は歯科医師でない者の医療法人理事長選出に係る認可相当とする基準」(第50回 大阪府医療審議会医療法人部会(平成30年11月20日開催)において承認)

国家戦略特区における認可

「国家戦略特区」ご存じですか?(政府インターネットテレビ)

「国家戦略特区」は、“世界で一番ビジネスをしやすい環境”を作ることを目的に、地域や分野を限定することで、大胆な規制・制度の緩和や税制面の優遇を行う規制改革制度です。平成25年度に関連する法律が制定され、平成26年5月に最初の区域が指定されました。(首相官邸サイトより)

 国家戦略特区における特定事業の一つとして「国家戦略特別区域医療法人運営柔軟化事業」が規定されています。この事業の根拠は国家戦略特区法第14条の2です。その概要は、医療法人のガバナンス強化の観点から、都道府県知事が、医師以外の者を医療法人の理事長として選出する際の基準について、法令上明記した上で見直し、当該基準を満たす場合は迅速に認可するものとするというものです。

 国家戦略特別区域医療法人運営柔軟化事業における医療法人の基準として、以下のいずれかに該当することとします。

① 認可に係る理事が2年以上医療法人の理事の経験を有する者であること

② 社会医療法人又は特定医療法人であること

③ 地域医療支援病院又は日本医療機能評価機構が実施する病院機能評価による認定を受けている病院を開設する医療法人であること

 国家戦略特別区域における医療法第46条の3第1項ただし書の認可に関する取扱い及び医療法人の非営利性の徹底について(平成27年8月28日医政発0828第11号)

  医師以外の者を医療法人の理事長にするには国家戦略特区の規制緩和を利用することが可能性が高いわけです。最もMS法人の役員は退任しなければいけませんが。