低侵襲手術用ロボット|手術支援ロボットの普及と保険適用

2020年9月20日

低侵襲

 低侵襲(ていしんしゅう)手術は、患者の身体への負担をできる限り低くした手術です。手術用ロボットを利用することにより、従来の手術のような大きな切開は必要なく、わずか1~2cm程度の小さな切開部数箇所だけで治療を可能にしています。

ダ・ヴィンチ

(da Vinci Xi and Nurse Intuitive Surgical G.K.サイトより)

 アメリカ企業の Intuitive Surgical Inc. のダ・ヴィンチ(da Vinci)サージカルシステムは、世界で最も普及している低侵襲手術用ロボットです。といっても普及台数は世界でも3,800台ほどで、日本では200台強しかありません。その希望小売価格は、「si」(4本アームタイプ)が2億4,000万円(税別)、「si-e」(3本アームタイプ)が1億7,000万円(税別) (2014年10月現在)、リースでも月300万円前後かかります。その他に年間保守(メンテナンス)費用も必要です。また、アームの先端の手術器具等は使い捨てで手術の都度買い替えが必要となります。

 手術できる範囲は広く、泌尿器(前立腺、膀胱)、消化器(食道、胃)、子宮、呼吸器(肺)、心臓、脳などです。ただし、保険適用は前立腺全摘出手術と腎臓がん部分摘出手術のみ可能であり、心臓外科手術など他患部では自費治療となっています。臨床試験実績を積んで、適用範囲の拡大が望まれます。

 2018年度診療報酬改定で保険適用されることになったロボット支援下内視鏡手術は、以下の12件(肺、食道、胃、腸、膀胱、子宮)に拡大しました。

  1. 胸腔鏡下縦隔悪性腫瘍手術
  2. 胸腔鏡下良性縦隔腫瘍手術
  3. 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの)
  4. 胸腔鏡下食道悪性腫瘍手術
  5. 胸腔鏡下弁形成術
  6. 腹腔鏡下胃切除術
  7. 腹腔鏡下噴門側胃切除術
  8. 腹腔鏡下胃全摘術
  9. 腹腔鏡下直腸切除・切断術
  10. 腹腔鏡下膀胱悪性腫瘍手術
  11. 腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮体がんに限る)
  12. 腹腔鏡下膣式子宮全摘術

 (6の腹腔鏡下胃切除術は先進医療Bとしてすでに行われ、先進医療会議で十分な科学的根拠を有すると評価された)

日本内視鏡外科学会では、ロボット手術について下記の導入指針を作成しました。

「ロボット支援下内視鏡手術導入に関する指針」

「消化器外科領域ロボット支援下内視鏡手術導入に関する指針」

 なお、上記ロボット支援手術の12術式に関しては、手術実施前に一般社団法人 National Clinical Database(NCD)に術前症例登録を行うことを必須条件と決定しています。今後、これ以外の術式でも登録をするようになるでしょう。

リース事業

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(医薬品医療機器等法)が平成26年11月25日施行されました。 MS法人が医療機器をリースする場合に、ダ・ヴィンチ等の手術ロボットは高度管理医療機器(クラスⅢ)となりますので、医療機器貸与業許可があらかじめ必要となります。

 MS法人が経営が同じグループ医療施設に医療機器リースをする場合、法外なリース料を設定して法人税削減を狙っても、税務署に医療施設の経費として否決される危険性がありますので注意が必要です。