不動産の基礎知識

2020年10月31日

不動産の定義

不動産

 不動産の取引、運用、保全の前提となる基礎知識として定義と種類を説明します。

1.民法

 不動産の定義は、「土地及びその定着物は、不動産とする。」と民法第86条1項に規定されています。不動産以外は動産とされています。ここで「建物」とされずに「定着物」となっていますが、民法の条文上に「定着物」の定義はありません。

 しかし、過去の判例(裁判所の判決)では、「定着物とは自然の形状に基づき、土地に付着したものをいうが、その自然の状態を毀損しなければ分離・移動できない物に限る趣旨ではない。(大審院判決明治35年1月27日言渡し)」とあります。この裁判では、工場の機械が土地の定着物又は従物であるとしました。(大審院は明治8年から昭和22年まで設置されていた当時の最高裁判所のことです。)

 一方、別の判例では、「土地の定着物とは一時の用に供するためでなく、土地に付着するものをいう。(大審院判決大正10年8月10日言渡し)」ともされています。この裁判では、仮植中の草木は土地の定着物ではなく、動産であるとしています。

2.税法

 課税する際の判断基準となる国税徴収法基本通達では、第68条で差押えの対象となる不動産について次のように規定しています。

1 法第68条の適用を受ける財産は、次に掲げる財産(以下「不動産」という。)である。
(1) 民法上の不動産 土地及び土地の定着物
(2) 不動産を目的とする物権(所有権を除く。) 地上権及び永小作権
(3) 不動産とみなされる財産 立木法による立木、工場財団、鉱業財団、漁業財団、道路交通事業財団、港湾運送事業財団及び観光施設財団
(4) 不動産に関する規定の準用がある財産 鉱業権、特定鉱業権、漁業権、入漁権、採石権及びダム使用権
(5) 不動産として取り扱う財産 鉄道財団、軌道財団及び運河財団

 つまり、不動産といっても土地と建物だけではなく、定着する機械や立木に関する法律により所有権保存登記された立木、その他工場財団などの各種財団などを含むのです。さらには登記又は登録された自動車・船舶や航空機も不動産に準ずる扱いがされています。

 なお、土地と建物は別個の不動産とされ、それぞれが所有権の対象となり不動産登記されています。

不動産の種類

 不動産を種類に分類することは、その不動産に対する権利を設定する上でも、その不動産の価値を評価する上でも重要です。

1.権利設定上の見地

 不動産登記法では土地と建物に分けて表示に関する登記がされ、それぞれに所有権、抵当権等の権利の登記がされます。

土地

 土地については、不動産登記法第99条「地目は、土地の主な用途により、田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園及び雑種地に区分して定めるものとする」とあります。

 登記上は土地はこのどれかに分類されるか、地番が付されていない土地(公有地、赤線、青線)とされています。この地目は、現状の地目とは必ずしも一致していないことに注意が必要です。

建物

 建物については、不動産登記法第111条「建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない。」とあります。屋根と壁があり、定着することが必要なのです。

 そして「種類」は主な用途により、居宅、店舗、共同住宅などに分類されて登記されます。

2.不動産の価値を評価する上での見地

 不動産鑑定評価基準では「不動産の種類とは、不動産の種別及び類型の二面から成る複合的な不動産の概念を示すものである」としています。

不動産の種別

 不動産の種別とは、不動産の用途に関して区分される不動産の分類をいい、地域の種別として宅地地域、農地地域、林地地域等に分けられます。さらに、土地の種別として、地域の種別に応じて分類される土地の区分であり、宅地、農地、林地、見込地、移行地等に分けられ、さらに地域の種別の細分に応じて細分されるとしています。つまり土地に関しての分類です。

不動産の類型

 不動産の類型とは、宅地並びに建物及びその敷地の類型であり、宅地の類型は、その有形的利用及び権利関係の態様に応じて、更地、建付地、借地権、底地、区分地上権等に分けられます。建物及びその敷地の類型は、その有形的利用及び権利関係の態様に応じて、自用の建物及びその敷地、貸家及びその敷地、借地権付建物、区分所有建物及びその敷地等に分けられます。