生産緑地の活用コンサルティング

2020年9月21日

概要

  • 平成4年に三大都市圏の特定市で生産緑地に指定された農地は、2022年に満30年を迎えて自治体に買取申出ができるようになります。
  • このため宅地の急激な増加と地価の下落が進む可能性があり、緑地としての農地が減少することを懸念して、平成27年に都市農業振興基本法が成立し、それに伴い各法が整備されました。
  • 生産緑地所有者から生産緑地活用相談を受けた場合のコンサルティングです。

2022年問題とは

 「生産緑地の2022年問題」でご説明しています。

生産緑地地区内の行為制限

 生産緑地地区内においては次の行為が制限されます。(生産緑地法第8条)

 生産緑地地区内においては、次に掲げる行為は、市町村長の許可を受けなければしてはならない。ただし、公共施設等の設置若しくは管理に係る行為、当該生産緑地地区に関する都市計画が定められた際既に着手していた行為又は非常災害のため必要な応急措置として行う行為については、この限りでない。

  • 建築物その他の工作物の新築、改築又は増築
  • 宅地の造成、土砂の採取その他の土地の形質の変更
  • 水面の埋立て又は干拓

生産緑地の税制

「都市農業振興基本法のあらまし」(農林水産省)より

生産緑地を維持する場合

「生産緑地法等の改正について」(国土交通省)より一部改
  • 生産緑地の所有者が営農継続を希望する場合、市町村から「特定生産緑地」の指定を受けることが可能とのアドバイスをします。
  • 指定された場合、市町村に買取り申出ができる時期は、「生産緑地地区の都市計画の告示日から30年経過後」から、10年間延期されます。10年経過後は、改めて所有者等の同意を得て、繰り返し10年間の延長ができることも説明します。
  • 2022年に特定生産緑地の指定を受けるには早めに、出来れば前年までに市役所に指定希望申出をすることをアドバイスします。
  • 特定生産緑地になった場合、相続税納税猶予と固定資産税農地課税が継続できます。
  • また、生産緑地の指定が市町村の条例で300㎡に減少できる場合もあり、生産緑地を分筆して特定生産緑地と宅地転用・売却する可能性も検討できます。(市町村によって異なります。)

都市農地の賃借の円滑化

「都市農地の貸借の円滑化に関する法律案の概要」(農林水産省)より
  • 生産緑地を賃貸する場合、賃貸借の法定更新と解約制限(農地法第17・18条)により生産緑地所有者が一旦貸したら返却を求めにくい状況にありました。
  • そのため、「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」が平成30年9月1日に施行されました。この法律は、都市農地の貸借の円滑化のための措置を講ずることにより、都市農地の有効な活用を図り、もって都市農業の健全な発展に寄与するとともに、都市農業の有する機能の発揮を通じて都市住民の生活の向上に資することを目的とします。
  • 都市農業者(賃借人)が作成し市町村の認可を受けた『事業計画』に従って設定した賃貸借契約は農地法の特例として法定更新が適用されず、契約期間経過後に農地が返ってきますので安心して農地を貸すことができます。
  • 相続税納税猶予を受けたままで生産緑地を貸すことができます。また、都市農業者(賃借人)が農業委員会から「特定都市農地貸付け」の承認を受けて『市民農園』を開設する場合、その都市農業者にも相続税納税猶予を受けたままで利用者に貸付が可能です。

生産緑地を解除する場合

生産緑地の買取申出
  • 生産緑地の指定を解除するには、先ずは買取申出が必要であり、都市計画決定において解除が行われない限り宅地等へ転用・売却ができないこと、申出から解除まで3ヵ月かかることを説明し、具体的な手続きをアドバイスします。
  • 生産緑地の所有者は生産緑地地区に関する都市計画告示の日から起算して30年を経過する日以後において、市町村長に対し、国土交通省令で定める様式の書面をもつて、当該生産緑地を時価で買い取るべき旨を申し出ることができます。
  • 市町村長は、買取りを希望する地方公共団体等のうちから当該生産緑地の買取りの相手方を定めることができます。買取りの相手方が定められない場合は特別の事情がない限り、市町村が当該生産緑地を時価で買い取るものとされています。
  • 市町村長は買取りの相手方が定められた場合を除き、買取申出があつた日から起算して1ヵ月以内に、当該生産緑地を時価で買い取る旨又は買い取らない旨を書面で当該生産緑地の所有者に通知しなければなりません。

転用後売却・交換・賃貸・自己使用

 生産緑地所有者が生産緑地を宅地等に転用して売却・交換あるいは自己使用を希望する場合は、

  • 生産緑地の買取申出をし、市町村等の買取又は農業漁業希望者へのあっせんが成立しないで買取申出3ヵ月後に生産緑地が解除されることが必要であることをアドバイスします。買取・あっせん成立した場合は、民間に売却・交換・賃貸あるいは自己使用をすることはできません。
  • 次に転用前に農地法5条(売却・交換・賃貸)又は4条(自己使用)の農業委員会への届出が必要であることも説明します。
  • 相続税納税猶予終了と固定資産税の宅地課税がされます。
  • 転用後に民間への売却、等価交換、賃貸あるいは自己使用が可能となります。

a.  売却は、宅地に転用して不動産会社又は一般への売却が検討できます。
b.  等価交換は、宅地に転用して建設会社に所有権移転し、対価の交換として賃貸マンションの所有権を取得して収益事業を行うことが検討できます。
c.   賃貸は、宅地に転用して借地権を設定したり、民間駐車場に貸すことが検討できます。
d.   自己使用は、自宅や建物・工場などの建設が検討できます。