一帯一路と中国・パキスタン経済回廊(CPEC)|AI天網監視社会の功罪

スパコンとAI(人工知能)

スーパーコンピューターのイメージ

 スパコン(スーパーコンピュータ)の性能では中国はアメリカと毎年1,2位を競い合っています。『天河二号』から続いて『神威・太湖之光(しんい・たいこのひかり)』の2機でスパコンランキングTOP500の1位を2017年まで5年間守ってきました。2018年はアメリカのIBM製スパコン SUMMIT(サミット)に1位を譲りましたが、TOP500に入るスパコンのシェアは中国が41.2%、アメリカが24.8%と大きく引き離しています。日本はそれに続き7.2%のシェアを占めています。

 また、理化学研究所のスパコン『京(けい)』の次世代であるポスト京プロジェクトが進んでおり、2021年頃の稼働を目指しています。すでにCPU「A64FX」の仕様が発表されており、京の最大100倍のアプリケーション実行性能が期待されています。名称は『富岳』です。2020年6月現在、『富岳』はTOP500、HPCG、HPL-AI、Graph500において世界第1位を獲得している世界最高のスーパーコンピューターです。

 AI(人工知能)はディープラーニング(deep learning、深層学習)という自己学習を進めて進化します。これには膨大な情報を高速に処理する演算回路が必須であり、優れたスパコンが必要となるのです。日本では国立研究開発法人 産業技術総合研究所が構築・運営する大規模で省電力のクラウド型計算システム『ABCI(AI Bridging Cloud Infrastructure(AI橋渡しクラウド))』がTOP500の5位に入っています。『ABCI』は世界最大規模の人工知能処理向け計算インフラストラクチャ(下部構造)で2018年8月より運用開始されました。

『一帯一路』と『中国・パキスタン経済回廊(CPEC)』

紅其拉甫口岸( ウイグルとパキスタンの国境出入国検査場 )

 中国経済はいつかバブルがはじけると言われてきました。また南シナ海の基地建設ではアメリカや沿岸諸国との衝突が懸念されていました。それでも『一帯一路』によってシルクロード上のASEAN諸国やアフリカ諸国の鉄道や港湾にインフラ投資をして感謝され、そのうえ中国の建設会社が工事を受注し、中国の製鉄等の生産物の輸出を増やし、労働力も輸出することで中国経済のバブルがはじけないようにもでき、営業後の収益から資金回収ができるはずでした。しかし、5年が経過し、マレーシア等の計画撤回する国や重い債務で悩む国が出てきて、世界からは『一帯一路』は中国の新たな植民地政策であると批判されてきています。

 この『一帯一路』の主となる計画が『中国・パキスタン経済回廊(CPEC)』です。中国新疆ウイグル自治区カシュガル地区タシュカル・タジクの出入国検査場である紅其拉甫口岸(フンジェラブこうがん)から『カラコルム・ハイウェイ』でパキスタン側スストの国境を越えて南下し、アラビア海に面するグワーダル港への陸路・鉄道路の新設・整備と新空港建設、さらに新発電所開発も進めているのです。すでにグワーダル港の運営は中国企業が得ています。CPECにより中国はインドを避けてエネルギー資源の輸出入が可能となるのです。さらにグワーダル港を中国の軍港にするのではないかと疑われてもいるのです。

AI『天網(てんもう、スカイネット)』監視社会の功罪

ウイグルの子供達

「天網恢恢疎にして漏らさず(てんもうかいかいそにしてもらさず)」の通り犯罪者を漏らさず捕えることを目的として、中国ではAI『天網』が監視カメラからの画像データと採取した生体情報を瞬時に処理し検挙に成果をあげています。中国国内の監視カメラはすでに2億近くあり、さらに増え続けています。

 一方、『天網』は犯罪者だけでなく、一般住民の管理統制に用いられており、少数民族の弾圧につながっているとして世界から非難されています。中国はこのシステムを輸出しており、独裁政権にとって非常に魅力があるでしょう。しかし、顔認証AIを騙す化粧やアイテムを用いた技術も研究されています。