憲法と人権

2020年11月28日

基本的人権

国会議事堂

 基本的人権については次のような制約があります。

「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる。」(憲法第11条)

公共の福祉

「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。」(憲法第12条)

「すべて、国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」(憲法第13条)

 つまり、国民の基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として現在及び将来にわたり憲法が保障するということです。

 ただし、濫用はしてはならず、「公共の福祉」による制約を受けるとしています。

 また、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利についても同じ制約を受けます。

 それぞれの国民には人権が保障されますが、他の国民の人権を侵害してはならず、その人権相互の衝突を調整するために、すべての人権に内在している「公共の福祉」による制約を受けることになります。

 本来、憲法は国家等の公権力に対して国民の人権や自由を保障する規定なのですが、個人の国民が私的団体(企業など)から受ける人権侵害に対して憲法を適用できるかが問題となります。

判例

 私人間に憲法を直接適用するのではなく、民法等の私法の一般条項に憲法の趣旨を取り込んで解釈することによって間接適用を認めるのが判例の立場です。

  • 私立高校が校則で定めた「バイク三ない原則」に違反した生徒を処分したことに対して、本件校則が社会通念上不合理であるとはいえないとした判決。(最高裁判決平成3年9月3日)
  • 企業が雇用に際して特定の思想・信条を有することを理由に不採用とすることは違法ではないとした判決。(三菱樹脂事件、最高裁判決昭和48年12月12日)
  • 女性の定年を男性より低い年齢に定めた就業規則を、性別のみによる差別であるとし、憲法の趣旨に反しており、民法第90条「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」により無効とした判決。(日産自動車事件、最高裁判決昭和56年3月24日)

外国人の人権

「日本国民たる要件は、法律でこれを定める。」(憲法第10条)

 「日本国民」でない外国人の人権について、人権とは人間が人間として当然有する権利なのですから、権利の性質上「日本国民」のみを対象としている人権規定を除いては、外国人にも適用されると考えられます。

判例

 判例で外国人に認められた人権としては、出国の自由、政治活動の自由、指紋押捺を強制されない自由などです。

 認められないのは、入国(再入国)の自由、選挙権などです。また、国家の福祉的給付をする際日本国民を外国人に優先することも許されるとしています。

法人の人権

 株式会社等の法人は自然人ではありませんが、社会的活動を行う実体の一つですから、権利の性質上適用可能な規定は適用されると考えられています。

判例

 株式会社の役員が特定政党に会社名義で政治献金したことについて、株主が会社が被った損害の賠償を役員に求めた訴訟では、会社が納税者の立場において政治的行為をする自由を有すると認め、政治資金の寄付もその一環であるとした判決。(八幡製鉄事件、最高裁判決昭和45年6月24日)