憲法の財産権

  1. law/zaisanken.html#2″>民法の財産法
  2. (初稿2016/2/18)

    憲法の財産権

    憲法第29条では、個人の財産権を保障するとともに、それに規制を与えています。財産権には、民法上の物権と債権、社団法人等の社員権(株券等)、無体財産権である知的所有権があります。

    財産権の保障

    「財産権は、これを侵してはならない。」(憲法第29条第1項)
    憲法は財産権を二つの面から保障しています。

    1. 個人が現に有している個々の財産権の保障
    2. 私有財産制の保障

    公共の福祉による制限

    「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」(同条第2項)
    憲法は財産権を保障していますが、国民の基本的人権と同じく、「公共の福祉」による制約を受けることを規定しています。例えば、空港建設のために土地を強制収用する場合です。

    正当な補償

    「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」(同条第3項)
    公共の福祉のために個人の財産を利用する場合には、「正当な補償」が必要であると規定しています。

    補償が必要な場合

    特定の個人に特別の犠牲を加えた場合には補償が必要であるという特別犠牲説が通説です。

    正当な補償の内容

    正当な補償とはどのような補償内容であるかには、次の2つの説があります。

    • 完全補償説
    • その財産の客観的な市場価値の全額を補償すべきであるとする説です。土地収用法の場合に適用されるとの判例があります。

    • 相当補償説
    • その財産について合理的に算出された相当額で補償すればよく、市場価値に満たなくともよいとする説です。自作農創設特別措置法での農地買収価格について適用されるとの判例(最高裁判決昭和28年12月23日)があります。農地改革のために低廉な価格で買収することを認めた場合です。

    民法の財産法

    民法は市民の法律であり、私法の一般法といえます。民法の財産法の内容は、物権と債権になります。

    物権

    物を直接に排他的に支配する権利が物権です。

    物権の特徴
    1. 一物一権主義
    2. 同じ物の上に同じ内容の物権は成立できません。

    3. 物権法定主義
    4. 物権は民法その他の法律で定められている以外に、個人が創設することはできません。

    5. 物権優先主義
    6. 物権と債権が抵触する場合、物権が優先されます。

    物権の種類

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    債権

    債権者(権利を有する人)が債務者(義務を負う人)に対して、一定の行為(給付)をすることを請求する権利が債権です。物権が物に対する権利であるのと違い、債権は人に対する権利なのです。

    債権の特徴
    1. 排他性がない
    2. 債務者に対して同じ種類の債権を重ねて設定できます。

    3. 契約自由の原則
    4. 債権は債権者と債務者の取り決めで自由に内容を決めて設定ができます。

    5. 相対的効力
    6. 債権者は債務者に対してのみ権利を主張できます。

    債権の種類

    債権には、特定物債権(第400条)、種類債権(第401条)、金銭債権(第402条)、利息債権(第404条)、選択債権(第406条)、の種類があります。

    土地収用法の収用と損失補償

    「この法律は、公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し、その要件、手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し、公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的とする。」(土地収用法第1条)
    土地収用法は、公共の利益となる、第3条に規定する事業又は土地収用法以外の法律で収用権が認められている事業においては、土地の収用を認めています。
    判例では、土地収用法における土地収用においては、収用の前後を通じて被収用者の財産価値を等しくすることを求め、金銭をもって補償する場合には代替地等を取得するに足りる金額にしなければならないとしています。(最高裁判決昭和48年10月18日)
    つまり土地収用法における損失補償は、完全な補償が求められるとするのが判例です。
    実際の補償金計算においては、事業認定告示時の相当な価格に権利取得裁決時までの物価変動修正率を乗じて算定するのが一般的です。