短時間労働者(パート等)の社会保険・厚生年金加入|103万円と106万円と130万円の壁

2020年12月12日

短時間労働者の社会保険・厚生年金の強制加入

パート
パート従業者のモデル

 平成28年10月1日より下記に該当するパート、アルバイトなどの短時間労働者の方は学生を除いて全て社会保険と厚生年金に強制加入となりました。

短時間労働者とは

勤務時間・勤務日数が常時雇用者の4分の3未満で、以下の1.~5.の全てに該当する方。

  1. 従業員501人以上の企業(特定適用事業所)または任意特定適用事業所勤務であること
  2. 週の所定労働時間が20時間以上であること
  3. 雇用期間が1年以上見込まれること
  4. 賃金の月額が8万8千円以上であること
  5. 学生でないこと

 年収に換算すると 1,056,000円以上となると、会社員の配偶者の扶養に入っていて自分で負担していなかった主婦などが、自分で社会保険と厚生年金に加入しなければならなくなり負担が増えて、実質手取り収入が減少する場合が発生するのです。

 これまでは、このような壁を「130万円の壁」と呼んでいましたが、これが「106万円の壁」となり、該当する短時間労働者は約25万人にのぼります。

 このため、勤務時間を減らして月額賃金が8万8千円未満になるように調整する方や従業員500人までの企業に転職する方もいるのです。

短時間労働者に厚生年金・社会保険の適用を拡大する理由

  • 被用者でありながら被用者保険の恩恵を受けられない非正規労働者に社会保険を適用し、セーフティネットを強化することで、社会保険における「格差」を是正する。
  • 社会保険制度における、働かない方が有利になるような仕組みを除去することで、特に女性の就業意欲を促進して、今後の人口減少社会に備える。

特定適用事業所とは

 同一事業主の適用事業所の厚生年金保険の被保険者数の合計が、1年で6カ月以上、500人を超えることが見込まれる場合は、特定適用事業所として短時間労働者の適用拡大(社会保険、厚生年金加入)の対象となります。

 同一の事業主とは、法人や地方公共団体の場合は法人番号が同じ適用事業所を指します。個人の場合は現在の適用事業所を指します。

 国の機関の場合は、国に属する全ての適用事業所が特定適用事業所として短時間労働者の適用拡大の対象となります。

 被保険者数は、短時間労働者を除いた、第2号~第4号厚生年金被保険者である共済組合員を含みます。

 要するに、企業は本・支店合わせてで、厚生年金保険の被保険者の総数が12カ月のうち6カ月間 501人以上の場合は、その企業の全ての本・支店の短時間労働者が適用拡大の対象となるわけです。

任意特定適用事業所とは

 厚生年金保険の被保険者数500人以下の企業に属する適用事業所で、「短時間労働者」が社会保険に加入することについての労使合意を行った事業所。

注意点

 上記に該当される短時間労働者の方には、お勤め先はスーパー等の501人以上の従業者がいる規模の大きな企業ですので、すでにお勤め先より知らされていると思いますが、上記1.~5.に該当するかどうかの詳細は、下記に事業主の皆様宛てに説明されたものがありますので、ご確認下さい。

 なお、勤務時間・勤務日数が常時雇用者の4分の3以上となっている短時間労働者の方、いわゆる「4分の3基準」に該当する方についても一部変更されて下記のようになります。

 「1週の所定労働時間」及び「1月の所定労働日数」が、同一の事業所に使用される通常の労働者の所定労働時間及び所定労働日数の4分の3以上である短時間労働者については、厚生年金・社会保険の被保険者となります。

 つまり、「4分の3基準」に該当しているか、4分の3未満であるが特定適用事業所(任意特定適用事業所)に勤務する上記1.~5.の全てに該当する短時間労働者は、厚生年金・社会保険の強制加入となるのです。

 詳細は、「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」(日本年金機構サイト)を参照ください。

103万円と106万円と130万円の壁

103万円の壁

 所得税の計算において、基礎控除48万円と給与所得控除55万円の合計 103万円までの年収であれば、本人に所得税がかからない年収の上限です。配偶者が勤労者なら、配偶者の厚生年金・社会保険に加入でよいので、本人の保険料負担はありません。

 2020年分の税制改正により、基礎控除は改正前38万円のところ、改正後は合計所得金額が2,400万円以下の場合は所得税48万円、住民税43万円となりました。また、給与所得控除額は給与等の収入金額162.5万円以下では改正前65万円のところ、改正後は55万円となりました。

 なお、府県や市町村の各種補助金、給付金等の受領に住民税非課税世帯を基準としているところが多いですから、それも考慮に入れてください。

106万円の壁

 正確には月額賃金8.8万円の壁になります。(106万円は概算で言っているだけ。) 上述のように、特定適用事業所(または任意特定適用事業所)に勤務し一定の要件に該当する短時間労働者の方は社会保険と厚生年金に加入しなければなりません。

 配偶者が勤労者でしたら、その扶養の社会保険と厚生年金から脱退して、本人の社会保険料が発生しますので、実質の年収は下がります。

 ただ、配偶者が自営業者やシングルマザーの方で、国民健康保険・国民年金に加入されていた方は、社会保険と厚生年金の保険料は事業主が半額負担であり、傷病手当金、出産手当金などの手当や将来もらえる年金額が増えること、退職しても2年間は社会保険の任意継続ができることなど利点も多いのです。

 実際、この壁に該当する方は約25万人と想定されますので、その他大多数の短時間労働者には次の130万円の壁が待ち受けています。

130万円の壁

 年収130万円を超えると、配偶者の扶養から外れますので、全ての短時間労働者は自分で健康保険や年金の保険料を負担しないといけなくなります。年間20~30万円の負担になりますので、実質手取りでは103万円以内に抑えている方と変わらない場合もあります。