法人の債務整理 | 特定調停・民事再生・会社再生・株式譲渡・清算・破産

法人と連帯保証している経営者は債務整理では同時に手続きを進めることが多いですので、法的手続きは弁護士、税務処理は税理士に相談の上、進めて参りましょう。
 事業をぎりぎりまで諦めないで続けることは大事です。ただ、法的な手続きをするのにも費用がかかります。全く資金が底を尽いてからでは法的手続きもできない事態になります。専門家に早めの相談をして、第三者の冷静な意見をお聞きになることも参考になるのではないでしょうか。
 このページをご覧いただいております皆様の債務整理がうまく進み、早く再起を遂げていただきたいです。

目次

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  1. 特定調停

  2. saimu/houjinseiri.html#4″>

  3. DES(債務の株式化)

  4. saimu/houjinseiri.html#6″>

  5. 株式譲渡と事業譲渡と会社分割

  6. saimu/houjinseiri.html#8″>

  7. 公的相談先

  8. (初稿2017/2/23)

    私的整理

     債務者である法人の経営陣が個別に債権者である金融機関と返済金額、返済回数、返済期間等の交渉をし、元本や金利の一部免除を受ける(カット)や返済方法をスケジュールし直す(リスケジュール)ことを先ず検討しましょう。
     これは、債権者が公的金融機関や銀行、クレジットカード会社の場合、交渉に応じてもらえる可能性が高いです。整理を公けにしないですることができるため、企業のイメージや信用力の低下を防ぐことができます。
     しかし、債権者数が多数であったり、消費者金融、無登録業者の場合は弁護士あるいは司法書士に民事再生等を依頼するべきでしょう。

    特定調停

     支払不能に陥るおそれのある債務者等の経済的再生に資するため、民事調停法の特例として特定調停の手続を定めることにより、このような債務者が負っている金銭債務に係る利害関係の調整を促進することを目的とします。根拠法は、特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律及び民事調停法です。

    申立者

     金銭債務を負っている者(個人又は法人)であって、

    • 支払不能に陥るおそれのある者
    • 事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することが困難である者
    • 債務超過に陥るおそれのある法人

    が特定調停の申立てをすることができます。現在支払不能や債務超過でなくとも、そのおそれがあるだけで申立てが可能です。

    調停申立内容

    • 申立人に対して金銭債権を有する者その他の利害関係人との間における金銭債務の内容の変更
    • 担保関係の変更
    • その他の金銭債務に係る利害関係の調整

    管轄の簡易裁判所

     相手方(債権者)の住所、居所、営業所又は事務所の所在地の区域を受け持つ簡易裁判所に特定調停の申立てを行います。複数の相手方の所在地の区域を受け持つ簡易裁判所が異なる場合、一つの簡易裁判所が全ての事件を関連事件として扱うこともあります。

    特定調停の特徴

    • 債務者が個人でも法人でも特定調停を申立てることができます。また、債務が支払い不能のなるおそれだけでも可能です。
    • 調停申立てがされた裁判所は、特定調停を行う調停委員会を組織する民事調停委員として、事案の性質に応じて必要な法律、税務、金融、企業の財務、資産の評価等に関する専門的な知識経験を有する者を指定することができます。
    • 裁判所は特定調停の目的となった権利に関する民事執行の手続の停止を命ずることができます。
    • 調停委員会は、特定調停のために特に必要があると認めるときは、当事者又は参加人に対し、事件に関係のある文書又は物件の提出を求めることができます。正当な理由なく提出しない場合には、裁判所は10万円以下の過料に処することができます。
    • 調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、裁判上の和解と同一の効力を有します。

    民事再生と会社更生

    民事再生

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     経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする方法です。根拠法は民事再生法です。

    民事再生の特徴
    • 債務者が個人である場合には日本国内に営業所、住所、居所又は財産を有するときに限り、法人その他の社団又は財団である場合には日本国内に営業所、事務所又は財産を有するときに限り、再生申立て可能です。
    • 再生債務者が、営業者であるときはその主たる営業所の所在地、営業者で外国に主たる営業所を有するものであるときは日本におけるその主たる営業所の所在地、営業者でないとき又は営業者であっても営業所を有しないときはその普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が原則として再生事件を管轄します。
    • 再建型の倒産処理方法であり、債権者数が少ない場合に適します
    • 経営陣自らが原則として手続きを遂行します。但し、裁判所が監督委員(弁護士)を選任する場合が多いです。
    • 担保権は別除権として再生手続き外で行使ができます。担保不動産の任意売却も可能です。但し、担保権の実行手続の中止命令が出される場合もあります。
    • 会社更生に比べて手続きも簡潔で、時間も短く半年程度で認可される場合もあります。

    会社更生

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     窮境にある株式会社について、更生計画の策定及びその遂行に関する手続を定めること等により、債権者、株主その他の利害関係人の利害を適切に調整し、もって当該株式会社の事業の維持更生を図る方法です。根拠法は会社更生法です。

    会社更生の特徴
    • 株式会社で日本国内に営業所を有するときに限り更生申立て可能です。
    • 主たる営業所の所在地を管轄する地方裁判所が原則として更生事件を管轄します。
    • 再建型の倒産処理方法であり、多数債権者が存在するときに適します
    • 経営陣は退陣し、管財人が手続きを遂行・管理します。
    • 担保権の別除権はないので、更生手続き外で担保不動産の任意売却などできません。
    • 民事再生に比べて厳格に処理され、時間も数年かかる場合もあります。

    DES(債務の株式化)

     企業が借入金(債務)を返済する代わりに、株式を発行して債権者に譲渡し、現物出資してもらう方法。債権者側から見たら、債権を現物出資し、評価額分の株式を取得することになります。借入金分の債務が減少し、資本金が増加することから、債務(Debt)と資本(Equity)の交換(Swap)の頭文字をとってDESと言われています。その他、会社更生手続きで行うDESや擬似DESがあります。ここでは、現物出資型DESの説明をします。

    債務の株式化の特徴

    • 企業の財務状況(自己資本率)が改善し、信用力が高まります。
    • 有利子負債が減少して、金利負担を軽減できます。但し、株式配当金の負担が増加します。
    • 債権者は債権放棄ではなく、株主になり株主総会に出席して経営に関与することができます。
    • 債権者は株価上昇時の売却益や配当収入を期待することができます。
    • 非適格現物出資の場合、増加資本金額はDES対象債権の時価となり、債務者側に債務消滅益課税される恐れがあります。
    • 新株発行の手続きが必要であり、大企業向きです。

    DDS(債務の転換)

    (図出典:「資本性借入金について」日本銀行サイトより、一部改)
     企業が銀行などの金融機関に負う借入金の負債(Debt)を、債務者(企業)にとって有利な別の新たな負債(Debt)に転換(Swap)する方法。期限の迫っている金融機関への負債の返済を、劣後ローンにして返済順位や時期を後回しします。

    DDS(債務の転換)の特徴

    • 劣後ローン契約を金融機関と締結します。特約(コベナンツ)が課されることがあります。
    • 返済期間が延長され、経営回復の時間が稼げます。
    • 一定の要件を満たせば、劣後ローンは資本とみなされ、新規融資を受けやすくなります。
    • 元本と金利は返済しなければなりません。
    • 新株を発行せず、中小企業向きです。

    株式譲渡と事業譲渡と会社分割

    株式譲渡

     株式会社は、株式の公開会社と非公開会社に分類することができます。

    • 公開会社
    •  発行株式の全部について譲渡制限を設けていないか、一部について設けている会社。

    • 非公開会社
    •  発行株式の全部について譲渡制限を設けている会社。

     譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を他人に譲渡する場合、株式会社に譲渡の承認を請求することができます。また、譲渡制限株式を取得した株式取得者も、株式会社に対して譲渡の承認を請求することができます。(会社法第136,137条)
    株式会社はこの譲渡の承認を株主総会の普通決議(過半数)で決定します。もし、承認をしない決定をした場合には、株式会社は対象となる譲渡制限株式を自ら買い取るか買取人を指定しなければなりません。この買取り等も株主総会の普通決議で決定されます。(同法第140条)
     非公開会社(非上場会社の場合が多い)のオーナー経営者の場合、全株式を譲渡することにより、非公開株式という流動性の低い資産を売却代金という流動性の高い純金融資産にすることが可能です。M&Aで事業を全て譲渡して、老後の資金を手に入れるわけです。
     会社の経営権を取得するには発行済株式総数の51%以上の取得で良いのですが、会社の重要事項などは株主総会で特別決議(3分の2以上)が必要ですから、買収側の企業にとっては発行済株式総数の3分の1超の取得をすれば否決できます。しかし、できれば100%の取得を目指すべきでしょう。

    事業譲渡

     事業の全部を譲渡する場合と重要な一部の事業部門を譲渡する場合がありますが、どちらも株主総会の特別決議(3分の2以上)が必要です。
     民事再生手続開始後においては、株式会社である再生債務者がその財産をもって債務を完済することができないときは、裁判所は、再生債務者等の申立てにより、事業等の譲渡について株主総会の決議による承認に代わる許可を与えることができます。ただし、当該事業等の譲渡が事業の継続のために必要である場合に限ります。(民事再生法第43条)
    会社更生手続開始後更生計画案を決議に付する旨の決定がされるまでの間においては、管財人は、裁判所の許可を得て、更生会社に係る事業等の譲渡をすることができます。この場合において、裁判所は、当該事業等の譲渡が当該更生会社の事業の更生のために必要であると認める場合に限り、許可をすることができます。(会社更生法第46条第2項)

    会社分割

     事業の一部の事業部門又は全部を新会社を設立して移転する場合(新設分割)と、他社に譲渡して対価として株式を譲り受ける場合(吸収分割)に分類できます。
     また、譲渡対価を分割会社の株主が受け取る場合(人的分割・分割型会社分割)と分割会社が受け取る場合(物的分割・分社型会社分割)に分類することもできます。会社法では人的分割を認めていませんので、一旦分割会社が受け取って、株主に剰余金の配当として渡すことになります。

    特別清算と破産

    特別清算

     株式会社を対象とする清算型の倒産手続きです。清算するには、まず株式会社を解散しなければなりません。解散は株主総会の特別決議(3分の2以上)が必要となります。清算株式会社に債務超過の疑いがあるときは、清算人は、特別清算開始の申立てをしなければなりません。根拠法は会社法です。
     また、裁判所は、清算株式会社に清算の遂行に著しい支障を来すべき事情がある場合や、債務超過(清算会社の財産がその債務を完済するのに足りない状態)の疑いがある場合には、当該清算株式会社に対して特別清算の開始を命じます。
     特別清算開始の命令があったときは、清算株式会社の清算は、裁判所の監督に属し、清算株式会社が事業の全部の譲渡あるいは重要な一部の譲渡をするには、裁判所の許可を得なければなりません。
     債権者数が少ない場合に適した手続きといえます。

    破産

     株式会社に限定されず、個人・法人に広く適用される清算型の倒産手続きです。会社再建を断念した場合の最終手段といえます。支払い不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続きを定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とします。根拠法は破産法です。
     法人の破産手続きを申立てできるのは、

    • 一般社団法人又は一般財団法人
    • 理事または清算人

    • 株式会社又は相互会社
    • 取締役または清算人

    • 合名会社、合資会社又は合同会社
    • 業務を執行する社員または清算人

    上記以外の法人にも準用されます。
     法人破産の場合、設備・機材などがあるでしょうし、全く財産がないということはないので、原則として管財事件となり、裁判所より破産管財人が選任されます。破産手続開始の申立てをするときは、申立人は、破産手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければなりません。この予納金は申立人から破産管財人に引継がれますので、引継予納金といわれています。
     引継予納金は、弁護士代理による破産申立ての場合は、申立て以前に弁護士により調査・整理がされているとして低額になります。本人申立てや債権者申立ての場合は高額になるようです。この引継予納金額は、債務総額や債権者数、予想される管財業務の内容、財団形成の見込みなどを勘案し、事案の内容に応じて裁判官が個別に判断することになるのですが、法人の通常管財事件では最低50万円は必要でしょう。
     通常管財事件の場合は、引継予納金も高額となり、また申立てから免責許可決定まで期間も3~5年かかります。
     特に高額の財産がない場合には、破産法の規定にはありませんが、各裁判所で少額管財事件として扱われ、引継予納金も20万円、期間も同時廃止ほどではないですが、かなり短くて済みます。
     また、法人代表者が連帯保証人となっている場合、法人破産と同時に個人の自己破産の申立てをする場合には引継予納金も関連事件として2件分よりも少なくて済む場合もあります。
    「自己破産の申立てをされる方のために」(最高裁判所)

    公的相談先

     公的機関や業界団体等の相談窓口をご紹介しましょう。

    中小企業庁認定経営革新等支援機関

     中小企業庁認定経営革新等支援機関とは、中小企業・小規模事業者の多様化・複雑化する経営課題に対して事業計画策定支援等を通じて専門性の高い支援を行うため、税務、金融及び企業の財務に関する専門的知識(又は同等以上の能力)を有し、これまで経営革新計画の策定等の業務について一定の経験年数を持っているといった機関や人(金融機関、税理士、公認会計士、弁護士など)を、国が認定した機関です。根拠法は、中小企業経営力強化支援法です。

    独立行政法人中小企業基盤整備機構

     独立行政法人中小企業基盤整備機構は、中小企業や地域社会の皆様に多彩なサービスを提供することを通じ、豊かでうるおいのある日本を作るために、貢献致します。金融機関からの融資を受ける際の保証もしています。

    日本商工会議所

     日本商工会議所は、全国515の商工会議所を会員とし、各地の商工会議所が「その地区内における商工業の総合的な発展を図り、兼ねて社会一般の福祉増進に資する」という目的を円滑に遂行できるよう全国の商工会議所を総合調整し、その意見を代表している団体です

    日本弁護士連合会

     日本弁護士連合会では、全国の弁護士会で法律相談センターを設けています。面談での一般相談は、30分 5,000円(税抜)ですが、クレジット・サラ金相談は無料です。弁護士が相談を受け、そのまま事件を依頼することも可能です。

    相談先一覧

    法人の債務整理の相談は、弁護士事務所をお勧めします。こちらのページをご覧ください。
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