信託行為

2020年11月14日

信託行為

信託依頼

 信託は次の3つの方法のうち、いずれかで開始されます。これを信託行為といいます。

契約による信託(契約信託)

 「特定の者(受託者)との間で、当該特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の契約(以下「信託契約」という。)を締結する方法」(信託法第3条第1項)

 委託者が受託者と信託契約を締結して、受託者は信託の目的の達成のために、信託財産の管理・運用・処分を行う方法です。一般的な方法です。信託契約は受益者の意志に関係なく締結できますので、受益者はその受益権を放棄することもできます。

 契約信託の効力発生は、「委託者となるべき者と受託者となるべき者との間の信託契約の締結によってその効力を生ずる。」(同法第4条第1項)と定められています。

遺言による信託(遺言信託)

 「特定の者(受託者)に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者(受託者)が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の遺言をする方法」(同法第3条第2項)

 委託者が生前に、死後の信託開始を遺言に残す方法で、委託者の単独の意志でなされます。遺言は特別方式遺言(危急時等で証人立会いで記録したものなど)と普通方式遺言(自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言)のどれかの方式で行わなければなりません。

 なお、遺言信託をした場合でも、法定相続人の遺留分を侵害している部分については、遺留分減殺請求をされる可能性があります。

 遺言信託の効力発生は、「当該遺言の効力の発生によってその効力を生ずる。」(同法第4条第2項)と定められています。遺言の方式が正しくなく、遺言が否定された場合は、当然遺言信託の効力は生じません。

公正証書等による信託(自己信託)

 「特定の者(受託者)が一定の目的に従い自己の有する一定の財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為を自らすべき旨の意思表示を公正証書その他の書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)で当該目的、当該財産の特定に必要な事項その他の法務省令で定める事項を記載し又は記録したものによってする方法」(同法第3条第3項)

 自己信託の効力発生は、「次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定めるものによってその効力を生ずる。

1.公正証書又は公証人の認証を受けた書面若しくは電磁的記録(以下この号及び次号において「公正証書等」と総称する。)によってされる場合

 当該公正証書等の作成

2.公正証書等以外の書面又は電磁的記録によってされる場合

 受益者となるべき者として指定された第三者(当該第三者が二人以上ある場合にあっては、その一人)に対する確定日付のある証書による当該信託がされた旨及びその内容の通知」(同法第4条第3項)

 委託者が受託者になって、信託の目的に従って自己の財産の管理・運用・処分をするものです。委託者の単独の意志で信託は開始します。信託宣言ともいわれます。

停止条件又は始期が付されている場合

 なお、上記規定にかかわらず、「信託は、信託行為に停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件の成就又は当該始期の到来によってその効力を生ずる。」(同法第4条第4項)と、されています。