相続手続きの流れ

2020年11月14日

相続手続き表

 相続手続きの流れを、市役所、家庭裁判所、税務署での手続きの面から表にしました。

相続手続表

被相続人の死亡前3年以内

税務署の手続き

 相続対策として、生前贈与が先ず思い浮かびますが、税務上の注意点は次の通りです。

相続時精算課税の適用を受けている場合

 相続時精算課税制度は、相続時にすでに納付した贈与税額を精算して相続税と贈与税の一体化をする制度です。特別控除2,500万円があります。暦年贈与の基礎控除110万円を併用することはできません。

 相続時精算課税の適用分の贈与財産の価額を他の相続財産に加算して相続税額を計算します。また、死亡した年の相続時精算課税の適用分の贈与財産の贈与税の取扱いでは、相続税の課税の対象となることから贈与税の申告は不要です。この場合、被相続人の住所地の税務署に一定の手続きが必要となります。

暦年贈与している場合

 相続時精算課税の適用を受けていない場合には、毎年の贈与分より基礎控除110万円を毎年受けることが可能です。但し、被相続人の死亡前の3年以内に贈与を受けた財産の価額については、相続税の課税価格に加算して相続税額を計算します。

 死亡した年の贈与財産の贈与税は、相続財産を取得する場合は贈与税の申告は不要です(相続税の対象となります。)。また、相続財産を取得しない場合には、贈与税の対象となります(贈与税の基礎控除を超える場合には申告と納税が必要となります。)

被相続人の死亡(相続開始)

市役所の手続き(死亡届)

 通常は葬儀会社が代行して提出いたします。

死亡届

 死亡届記載例はこちら
(法務省サイト 戸籍関係手続き「死亡届」より一部抜粋)

家庭裁判所の手続き

 遺言書(公正証書による遺言を除く。)の保管者又はこれを発見した相続人は,遺言者の死亡を知った後,遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して,その「検認」を請求しなければなりません。また,封印のある遺言書は,家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています。

 検認とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

 遺言の執行をするためには,遺言書に検認済証明書が付いていることが必要となります。

申立人

 遺言書の保管者又は遺言書を発見した相続人

申立先

 遺言者の最後の住所地の家庭裁判所

被相続人の死亡を知った時から3ヶ月以内

家庭裁判所の手続き

 相続が開始した場合,相続人は次の三つのうちのいずれかを選択できます。

単純承認

 相続人が被相続人(亡くなった方)の土地の所有権等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぎます。

相続放棄

 相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継ぎません。放棄は各相続人が単独で、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所にその旨を申述できます。

限定承認

 被相続人の債務がどの程度あるか不明であり,財産が残る可能性もある場合等に,相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぎます。相続人全員が共同で、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申述しなければなりません。

 相続放棄又は限定承認の申述をしない場合は、単純承認したとみなされます。

 また、相続人が,自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に相続財産の状況を調査してもなお,相続を承認するか放棄するかを判断する資料が得られない場合には,相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立てにより,家庭裁判所はその期間を伸ばすことができます。
(裁判所サイト 家事事件「遺言書の検認、相続の放棄、限定承認」より)

被相続人の死亡を知った日の翌日から4ヶ月以内

税務署の手続き(準確定申告)

 所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について計算し、その所得金額に対する税額を算出して翌年の2月16日から3月15日までの間に申告と納税をすることになっています。

 しかし、被相続人が年の中途で死亡した場合は、相続人が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければなりません。これを準確定申告といいます。

 準確定申告をする場合には、次の点に注意してください。

確定申告をしなければならない人が翌年の1月1日から確定申告期限(原則として翌年3月15日)までの間に確定申告書を提出しないで死亡した場合

 この場合の準確定申告の期限は、前年分、本年分とも相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。

相続人が2人以上いる場合

 各相続人が連署により準確定申告書を提出することになります。

 ただし、他の相続人の氏名を付記して各人が別々に提出することもできます。この場合、当該申告書を提出した相続人は、他の相続人に申告した内容を通知しなければならないことになっています。

準確定申告における所得控除の適用

イ 医療費控除の対象となるのは、死亡の日までに被相続人が支払った医療費であり、死亡後に相続人が支払ったものを被相続人の準確定申告において医療費控除の対象に含めることはできません。

ロ 社会保険料、生命保険料、地震保険料控除等の対象となるのは、死亡の日までに被相続人が支払った保険料等の額です。

ハ 配偶者控除や扶養控除等の適用の有無に関する判定(親族関係やその親族等の1年間の合計所得金額の見積り等)は、死亡の日の現況により行います。

被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内

税務署の手続き

 相続税の申告のあらましを説明します。

相続人の確認

 被相続人と相続人の本籍地から戸籍謄本を取り寄せて相続人を確認します。通常、弁護士か司法書士に依頼します。

遺言書の有無の確認

 遺言書があれば遺言書を開封する前に家庭裁判所で検認を受けます。ただし、公正証書による遺言は検認を受ける必要はありません。

遺産と債務の確認

 遺産と債務を調べてその目録や一覧表を作っておきます。

 また、葬式費用も遺産額から差し引きますので、領収書などで確認しておきます。

遺産の評価

 相続税がかかる財産の評価については、相続税法と財産評価基本通達により定められ一般に公表されていますので、それらにより評価します。

遺産の分割

 遺言書がある場合にはそれによりますが、遺言書がない場合には、相続人全員で遺産の分割について協議をし、分割協議が成立した場合には、遺産分割協議書を作成してください。

 なお、相続人のなかに未成年者がいる場合には、その未成年者について家庭裁判所で特別代理人の選任を受けなければならない場合があります。この場合、特別代理人が、その未成年者に代わって遺産の分割協議を行います。

 また、期限までに分割できなかったときは民法に規定する相続分(法定相続分)又は包括遺贈の割合に従って相続財産を取得したものとして相続税の申告をすることになります。その際、相続税の特例である小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例や配偶者の税額の軽減の特例などが適用できない申告になりますので注意が必要です。

申告と納税

 相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。例えば、1月6日に死亡した場合にはその年の11月6日が申告期限になります。なお、この期限が土曜日、日曜日、祝日などに当たるときは、これらの日の翌日が期限となります。

 また、被相続人の死亡の時における住所が日本国内にある場合の申告書の提出先、納税先はいずれも被相続人の住所地を所轄する税務署です。相続人の住所地を管轄する税務署ではありません。
相続税は、申告書の提出期限までに金銭で納めるのが原則です。

 しかし、相続税の納税については、何年かに分けて金銭で納める延納と相続又は遺贈で取得した財産そのもので納める物納という制度があります。この延納、物納を希望する方は、申告書の提出期限までに税務署に申請書などを提出して許可を受ける必要があります。

相続税申告期限後3年以内

税務署の手続き

 民法に規定する相続分(法定相続分)又は包括遺贈の割合で申告した後に、相続財産の分割が行われ、その分割に基づき計算した税額と申告した税額とが異なるときは、実際に分割した財産の額に基づいて修正申告又は更正の請求をすることができます。

 修正申告は、初めに申告した税額よりも実際の分割に基づく税額が多い場合にすることができます。

 更正の請求は、初めに申告した税額よりも実際の分割に基づく税額が少ない場合に、分割のあったことを知った日の翌日から4か月以内にすることができます。

 なお、上記の特例が適用できるのは、原則として申告期限から3年以内に分割があった場合です。
(国税庁サイト タックスアンサーNo.4307、No.4202、No.4208、No.2022より)

相続に関する税金相談先

 「相続税と起業後の確定申告 | 相続税・所得税・法人税等の相談先」をご覧ください。