相続税と起業後の確定申告 | 相続税・所得税・法人税等
納税に悩むとき、税の相談は税理士以外にはできません。税理士又は税理士法人でない者は、税理士法に別段の定めがある場合を除くほかは、税理士業務を行つてはならない(税理士法第52条)のです。これは有償・無償を問わず税理士以外が個別税務相談を受けられないことを意味します。相続税や起業時の税手続き及び確定申告はご自分ですることも可能ですが、税理士に相談するのも良い方法でしょう。
相続時に必要な税の申告は
相続時には、所得税と相続税の確定申告が必要な場合があります。
所得税の準確定申告期限
亡くなった方(被相続人)でも昨年度の所得があれば、所得税の確定申告をしないといけません。といっても本人はできませんので、相続人が、1月1日から死亡した日までの確定した所得金額及び税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければなりません。これを準確定申告といいます。
もし、所得のあった翌年1月1日から3月15日までに亡くなった場合は、2年分の確定申告を相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内にして、納税しないといけないのです。
また、相続人が2人以上いる場合には、確定申告書に連署することが必要となります。
相続税の申告期限
準確定申告は、相続人に経理の知識があれば何とか自身ですることもできますが、相続税の申告はかなり難しいですから、税理士にお任せされるのが良いですね。
相続税が課税されるのは、課税価格の合計額(遺産総額)から基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を引いてプラスになる場合です。
例えば、課税価格の合計額が1億円で、法定相続人が5人の場合は、基礎控除額が 3,000万円+600万円×5人=6,000万円ですから、1億円-6,000万円=4,000万円が課税遺産総額となり、相続税額が算出されるのです。
相続税申告までの流れは
- 相続人の確認
- 遺言書の有無の確認
- 遺産と債務の確認
- 遺産の評価
- 遺産の分割
- 申告と納税
となります。
遺産の分割までは弁護士又は司法書士、相続税の申告は経験豊富な税理士にお任せされるのがよろしいです。特に相続人が複数の場合は、意見の調整など当事者では難しい部分もございます。
相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。納税は金銭で納めるのが原則です。これも相続人間で遺産分割協議が無事に終わらないと相続税の申告ができないのです。
詳しくは、「相続手続きの流れ」をご覧ください。
相続に経験豊富な税理士を選びましょう
全国で税理士の登録者数は 73,650人(平成29年2月末日現在、日本税理士連合会サイトより)ですが、相続税申告が必要である被相続人数は103,043人(平成27年分、国税庁発表)と、税理士1人当り約1.4件しかありません。
しかも、相続税がかかるような相続案件は都市部に多いので、相続税申告の経験の乏しい税理士もおられるのです。ですから、顧問の税理士が相続税申告の経験が少ない場合はスムーズに進むかどうかも心配です。万一受けられるはずの控除や特例を申告しないで、納税金額が増えてしまったら大変です。
起業時の税務手続きや確定申告は
起業時に個人事業で青色申告を選択して、複式簿記で帳簿する場合について説明しましょう。
新規開業時の税の手続き(税務署)
- 開業届(個人事業の開廃業等の届出書)
- 所得税の青色申告承認申請書
- 青色事業専従者給与に関する届出書
- 源泉徴収税の納期を年2回にする届出書
- 所得税のたな卸資産の評価方法届出
- 減価償却資産の償却方法の届出書
などが必要となります。
確定申告時の提出書類(税務署)
- 所得税青色申告決算書(損益計算書、貸借対照表)
- 所得税の確定申告書
を期限内(翌年の2月15日~3月15日)に申告・納税が必要です。
さらに、消費税課税事業者を選択した場合は、消費税の申告書も提出する必要があります。
開業して事業を軌道に乗せるまでが大変なのに、これだけの手続きをしないといけないのです。といっても、税務署以外の役所の申請もあります。経営者には特に税についての相談者である税理士が必要なのです。
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