シャープ買収とアメリカホテル買収

(初稿2016/4/3)

シャープのホンハイ(鴻海精密工業)による買収の最終契約が2日締結されました。当初基本合意より出資額を1,000億円減額した3,888億円での成立ですが、その他の諸条件が付されたことは各種報道でご存知の通りです。特に、ホンハイの責任ではない状況のために契約が破談となった場合に液晶部門だけを買い取れる条件がついていることには今後の懸念があります。また、すでに社員全員の配置換えの可能性を示唆したように雇用継続の不安も残ります。
今回の買収での決着を見て、日本企業与し易し(くみしやすし)と外資による買収が加速するのではないかと懸念されます。
一方、海外に目をやると、アメリカでも中国企業による有名ホテルの買収が相次いでいます。ザ・ウオルドルフ-アストリア(The Waldorf-Astoria)は、ニューヨーク市マンハッタンの最高級ホテルであり、2014年にヒルトン・ホテルズ・コーポレーションより中国の安邦保険グループが買収しましたが、アメリカ政府は安全保障上の懸念を示し、国務省は盗聴の危険性のため国連総会開催時での利用を取りやめています。
そして、今回、同じ安邦保険グループがスターウッドホテルズ アンド リゾート ワールドワイド(Starwood Hotels and Resorts Worldwide)の買収を目指していましたが、すでにマリオット・インターナショナルが提示していた買収金額136億ドル(2016年3月21日スターウッド発表)を上回る、140億ドルを提示(3月28日スターウッドは「優れた提案」(Superior Proposal)と発表)したのです。このあたり、シャープの買収と同じような流れですが、最終的にはマリオット・インターナショナルが買収することに決着しました。
これは、安邦保険グループが突然撤退を表明したことによります。それは中国政府の関与も考えられますが、アメリカ政府が外資、特に中国企業の買収を警戒していることも要因の一つでしょう。ザ・ウオルドルフ-アストリアの例があり、国防上の懸念が強いことが考えられます。
「米政府がサイバー攻撃への対抗措置に動き出した。(2013年に)成立した暫定予算法に中国製のIT(情報技術)機器の政府調達を制限する条項を盛り込んでいた」と中国製パソコン・スマートフォン等の危険性をアメリカ政府が認識し対抗措置をとっていることを日本経済新聞が報じています。
このような事例を考えると、日本でも一企業だけの問題とは考えず、高度成長期を支え日本製品の高性能・高品質を世界に知らしめた企業について、国家レベルで検討し対処して行かなければならないのです。