純金融資産 超富裕層 | ファミリーオフィスと海外分散投資
超富裕層では、資産の保全を考えると、海外移住、ファミリーオフィスの利用、海外分散投資を組み合わせる手法になるのですが、自分のライフデザインをどこにおくのかを改めて検討することも必要となります。
超富裕層の純金融資産保有額
超富裕層は純金融資産5億円以上の層であり、全世帯の0.14%(7.3万世帯)、純金融資産の合計は5.35%(75兆円)になります。(野村総合研究所2015年純金融資産保有額の階層別にみた世帯数より)
この層は相続した代々の資産家、上場企業創業家などであり、東京、名古屋、大阪の三大都市圏に主に居住していますが、東京で増加しています。
超富裕層の収入と資産の特徴
所得の分布状況(所得金額級数別世帯数の相対度数分布)を見ると、相続金額や退職金額を考慮に入れない場合、超富裕層の世帯所得は2,000万円超が該当することになります。
超富裕層は上場企業創業家などで資産に占める創業会社株式の割合が多いのが特徴です。
海外移住
老齢年金受給
リタイアして海外移住し外国籍を取得しても、日本で老齢年金の受給要件を満たしていた場合、年金は受給することができます。
移住国が社会保障の協定相手国の場合には、受給申請は相手国の実施機関に提出することができます。また、協定相手国と日本の年金加入期間を相互に通算し、日本や相手国の年金を受給することが可能なのです。平成28年11月現在の社会保障協定の発効状況は以下のとおりです。
【加入期間の通算ができる国】
ドイツ、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド
なお、年金受給にかかる所得税等の課税については、各国との租税条約によります。例えば、オーストラリアに移住した場合、一般の国民年金・厚生年金の課税はオーストラリアのみします。公務員の共済年金については両国で課税されます。
国外転出時課税制度
国外転出(国内に住所及び居所を有しないこととなることをいいます。)をする一定の居住者が1億円以上の対象資産を所有等している場合には、その対象資産の含み益に所得税及び復興特別所得税が課税されます。
また、1億円以上の対象資産を所有等している一定の居住者から、国外に居住する親族等(非居住者)へ贈与、相続又は遺贈によりその対象資産の一部又は全部の移転があった場合にも、贈与、相続又は遺贈の対象となった対象資産の含み益に所得税及び復興特別所得税が課税されます。
この場合、所得税の確定申告等の手続きが必要となります。なお、一定の場合は、納税猶予制度や税額を減額するなどの措置(以下「減額措置等」といいます。)を受けることができます。いずれの減額措置等も国外転出までに納税管理人の届出書を所轄税務署に提出するなどの手続が必須となります。
(「国外転出時課税制度」、「国外転出をされる方へ」国税庁サイトより)
タックスヘイブン
タックスヘイブン(tax haven)
租税回避地のことです。所得税、法人税等の税金がない国、あるいは税率が低い(又は優遇措置のある)国・地域のことをいいます。
有名なのは、ケイマン諸島、香港、マカオ、モナコ、パナマ、スイス、バージン諸島などです。
海外移住した場合、タックスへイブンでは所得税はかかりませんが、日本国内で発生した所得については、非居住者として日本で源泉徴収されます。租税条約が結ばれている場合は、それに従っての課税となります。また、非居住者となることで日本での住民税は課税されません。
法人がタックスヘイブンに子会社の保険会社を設立して加入する方法をキャプティブといいます。
租税条約
タックスヘイブンで租税条約を締結しているのは、68条約等、110が国・地域(平成29年4月1日現在)です。
(出典:「我が国の租税条約ネットワーク」財務省サイト)
ファミリーオフィスと海外分散投資
ファミリーオフィス
わずか 0.1%の層の超富裕層の純金融資産保有額は全世帯の 5.35%も占めています。居住者は三大都市圏に集中しています。保有資産の保全・運用には一族が関わっています。そしてその資産の大きな部分を株式公開企業であれ非公開企業であれ、自社株が占めているのです。この一族の資産保全・運用を計画・実行することと、本体事業の法人経営とは分離して管理しないといけません。法人の役員や従業員に一族の仕事を兼任させることは企業経営の透明性を損なうことにもつながりかねません。
そのため、超富裕層・富裕層の一族資産の保全・運用の事務をプロフェッショナルである外部機関のファミリーオフィスが担うことになったのです。日本でも今後、会社経営に関与しない相続人が株式を相続し、それを大量に市場で売却することが予想されますので、ファミリーオフィスの重要性は増していくのです。
ファミリーオフィスでは一族の資産を経営する会社の事業とは分離して管理し投資等運用をすることと、一族会議やその絆を深めるための活動もするのです。親子間、兄弟間で他人どうしよりも厳しい対立をし、事業を分断するような危険を避けることも重要なのです。
ただし、日本では非上場企業の創業家が独自で資産管理会社としてファミリーオフィスを設立した場合には、中小企業経営承継円滑化法による相続税と贈与税の納税猶予・免除の特例が利用できなくなりますので注意が必要です。
それゆえ日本では特定の一族のためだけに設立されたファミリーオフィスではなく、都市銀行等金融機関のプライベートバンク部門が提供するファミリーオフィスサービスや会計事務所・税理士事務所等が設立する同規模の複数の超富裕層・富裕層一族にそれぞれ合わせて資産の運用管理するマルチクライアント・ファミリーオフィスが独立系で設立されていくことでしょう。
【補足】
小説・ファミリーオフィス銀座では、公益財団法人みやこ財団が財団と理事の資産管理のためにファミリーオフィス銀座を設立しています。その資産を投資運用管理することと、多国籍犯罪企業から日本の国土・水源・技術等を守る活動をしているのです。
海外分散投資
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