純金融資産 富裕層 | 資産承継プランの見直しと保全管理

富裕層になると、いかに後継者に承継していくかを考えていく層となります。しかし、海外分散投資を進めていくこともかなり難しくなってきました。非上場会社での納税猶予と免除の知識も身に付けましょう。

目次

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  1. 富裕層の収入と資産の特徴

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  3. 資産管理(保全と承継)のアドバイス

(初稿2017/4/27)

富裕層の純金融資産保有額

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富裕層は純金融資産1億円以上5億円未満の層であり、全世帯の2.16%(114.4万世帯)、純金融資産の合計は14.05%(197兆円)になります。
(野村総合研究所2015年純金融資産保有額の階層別にみた世帯数より)
この層は相続した資産家、大企業経営者などであり、東京、名古屋、大阪の三大都市圏に主に居住しています。

富裕層の収入と資産の特徴

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所得の分布状況(所得金額級数別世帯数の相対度数分布)を見ると、相続金額や退職金額を考慮に入れない場合、富裕層の世帯所得は1,600万円以上が該当することになります。
富裕層は上場企業や非上場の大会社の経営者などで資産に占める自社株式の割合が多いのが特徴です。

先祖代々受け継いできた資産の場合

富裕層の興味は、増やすことよりも減らさないこと、リスクをとらないことにあります(オールドマネー)。したがって運用アドバイスは、保全と承継が中心となります。

一代で築いた資産の場合

富裕層の興味は、いかに増やすか、それに見合うリスクはとります(ニューマネー)。したがって運用アドバイスは、投資が中心となります。しかし、リタイアをする時期になると、運用アドバイスは資産の保全と承継に移ります。

資産承継プランの見直しが必要

ノンフィクション「プライベートバンカー」清武英利著、講談社刊では、シンガポールで5年の居住を待つ日本人富裕層が退屈な生活に苦痛を感じる様子から始まるのですが、平成29年4月1日相続(贈与)分よりこの5年海外居住の要件が10年に延長されました。

  1. 被相続人(贈与者)は10年を超えて国内に住所を有していないこと
  2. 相続人(受贈者)は日本国籍がある場合は、10年を超えて国内に住所を有していないこと
  3. 相続人(受贈者)は日本国籍がない場合は、国内に住所を有していないこと

を条件として、相続税(贈与税)が国内財産に対してのみ課税されるのです。
シンガポールなど海外で親子でじっと5年経過を待っていれば国外財産は非課税で承継できたのが、10年待たなくてはいけなくなりました。これにより課税逃れで海外移住をすることの引き止めになり、富裕層の資産承継に大きな影響を与えることとなります。
海外不動産投資を年月をかけて進めて行き、資産の海外移転をできるだけ進めたのち、国内事業を売却してリタイアし、親子で海外居住して5年経過すれば非課税で資産承継できるプランは課税逃れとして国税庁に目をつけられて対策が進んでいるのです。
一方、タワーマンションの固定資産評価額は上層階ほど高くなる改正もなされましたので、国内での相続税(贈与税)対策もこれまでのプランでは立ち行かなくなってきたのです。
このように、富裕層の資産保全・承継について見直す必要に迫られています。

プライベートバンカー [ 清武英利 ]

資産管理(保全と承継)のアドバイス

非上場会社等で経営を承継する相続人又は受贈者が存在する場合

「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」により、相続税又は贈与税の納税が猶予され、承継人の死亡時には免除される特例です。
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(出典: 「非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例のあらまし(平成27年1月1日施行)」国税庁サイト)
なお、承継される会社が上場会社、風俗関係、大会社、資産管理会社(一定の条件を満たすものを除く)の場合はこの特例を使うことができません。
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(出典:「中小企業経営承継円滑化法申請マニュアル」中小企業庁サイト)

事業譲渡の場合

上場会社、風俗関係、大会社の経営者は、特例が使えませんので次のような方法が考えられます。

資産管理会社設立

現経営者の保有する自社株式を売却等で資産管理会社に移し、後継者が金融機関から融資を受けて株式を取得するスキーム。後継者が株式購入資金を調達できる場合に限ります。

株式譲渡

従業員持株会やM&Aで自社株式の全部譲渡をして、純金融資産に変えて相続させるスキーム。この場合は、現経営者には譲渡所得税が課税されますが、相続人(受贈者)は譲り受けた純金融資産から納税すれば良いわけです。