収入(可処分所得)計算と源泉徴収票の見方

2020年9月19日

給与所得者の可処分所得

可処分所得とは、年収(給与の総支給額)ではなく、いわゆる手取り収入のことを言います。

可処分所得

自由に使える金額といえますが、その使い道の具体的な項目は以下の支出と貯蓄に分類できます。

年金受給者の場合は、社会保障給付(国民年金 + 厚生年金)から所得税・住民税と社会保険料を控除したものが可処分所得となります。

自営業者の可処分所得

自営業者の場合、事業収入を得るために経費が必要となりますから、可処分所得の計算では経費を控除します。

平成28年収入(可処分所得)

総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)」平成28年平均速報結果の概況(平成29年2月17日公表)で収入(可処分所得)を見てみましょう。
二人以上の世帯の消費支出は、実質1.7%の減少となり、2014年以降3年連続で実質減少しています。そのうち、勤労者世帯の家計収支を見てみましょう。

二人以上の世帯のうち勤労者世帯の家計収支

これは単身世帯を除いた、家族2名以上の勤労者世帯(平均世帯人員3.39人、世帯主の平均年齢48.5歳)の収入と消費の内訳を示したものです。実収入は526,973円(前年に比べ名目0.2%の増加、実質0.3%の増加)ですが、勤め先収入(定期収入)は減少、その他収入(事業・内職収入,公的年金等の社会保障給付,財産収入など)が増加しています。
会社員世帯の平均可処分所得は 428,697円(前年に比べ名目0.3%の増加、実質0.4%の増加)であることが分かります。年代が上になるほど可処分所得は増えて、上記表か黒字119,106円となっています。
しかし、60歳以上になると定年退職後の継続雇用や再就職で給与が大きく下がっています。

高齢夫婦無職世帯の家計収支

高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)では、実収入212,853円(前年に比べ名目0.3%の減少、実質0.2%の減少)のうち社会保障給付が90.7%を占めています。世帯の可処分所得は 182,980円(名目0.8%の増加、実質0.9%の増加)と前年に比べて少し改善していますが、収支の不足分54,711円が発生しており、社会保障給付では生活を賄えず、蓄えを切り崩している厳しい生活状況になっていることが分かります。

源泉徴収票の見方

これは平成28年分の銀座善雄さんの源泉徴収票です。マイナンバー制度の導入で様式が変わりました。これは受給者交付用なのでマイナンバーの記載はありませんが、税務署提出用には受給者と扶養親族のマイナンバーが記載されています。斜線が引かれている部分に記載されます。

この源泉徴収票から読み取れることを列挙しますと

  1. 銀座善雄さんは東京都中央区築地明石町1の共同住宅に住んでいます。A棟401号室ですね。
  2. この共同住宅は賃借しているか、住宅ローン控除が利用できない程度に年数の古い分譲マンションですが、地震保険料(あるいは旧長期損害保険料も含んで)25,000円を払っているところをみると古い分譲マンションの所有と思われます。(賃貸住宅の地震保険料なら3~5,000円程度です。)
  3. 勤務先は東京都港区元赤坂10-5-31のロングノーズ製薬株式会社で営業課長、年収は8,213,400円です。
  4. 生年月日は昭和46年4月1日の45歳です。
  5. 家族は妻の華子さん、長男高雄くん(16歳以上19歳未満、または23歳以上)、長女好美さん(16歳未満)の4人です。
  6. 華子さんは専業主婦か年収103万円未満のパート勤めです。
  7. 生命保険は旧生命保険に年間240,000円支払っていることから、平成23年12月31日以前に加入している保険です。

可処分所得の計算例(給与所得者)

ここでは、妻の華子さんはパート勤めで年収100万円としてみます。これで夫婦の可処分所得を計算しますと、(1万円未満は四捨五入します。)

善雄さんについては、源泉徴収票をご覧ください。

収入金額は、「支払金額」8,213,400円を四捨五入して、821万円と記入しています。
所得税は、「源泉徴収税額」325,200円を四捨五入して、33万円と記入しています。
社会保険料は、「社会保険料等の金額」1,247,000円を四捨五入して、125万円と記入しています。
さて、住民税は源泉徴収票に記載されていませんので、以下のように速算しましょう。
住民税は、課税総所得金額の 10%(道府県民税 4%+市町村民税 6%)とします。
課税総所得金額
=「給与所得控除後の金額(総所得金額)」-「所得控除の額の合計額」
=619万円ー246万円
=373万円
住民税=373万円×10%=37.3万円 を四捨五入して、 37万円
実際に課税される住民税では、均等割と所得割に分けて計算し、その合計金額で決まりますので上記はあくまで速算です。ご自身の住民税については、お手元に市県民税課税証明書等がございましたら、その金額でご計算下さい。
なお、パート収入でも、雇用保険料等が控除されている場合があります。上の華子さんのケースは単純化してありますので、ご自身のパート収入の源泉徴収票をご確認していただき、計算して下さい。

個人再生の可処分所得

債務整理方法での「個人再生」で、「給与所得者等再生」を申立てる場合には、可処分所得の計算をしなければなりません。
この場合の可処分所得の計算は、上述の通常の場合の可処分所得の計算からさらに「最低生活費」を控除して求められます。

民事再生法第241条第2項7では、「再生債務者及びその扶養を受けるべき者の最低限度の生活を維持するために必要な一年分の費用の額」の規定があり、これを最低生活費と呼びます。最低生活費は下記の合計額となります。

  1. 個人別生活費の額
  2. 世帯別生活費の額
  3. 冬季特別生活費の額
  4. 住居費の額
  5. 勤労必要経費の額

これらは、居住地域の区分、再生債務者又は被扶養者の年齢の区分、再生債務者及び被扶養者の合計数の区分、冬季特別地域の区分等により額が決められており、「民事再生法第二百四十一条第三項の額を定める政令」(平成十三年三月十六日政令第五十号)によって定められています。
「個人の債務整理」もご覧ください。

FP試験対策

FP(ファイナンシャルプランナー)の試験では、ライフプランニングにおいてキャッシュフロー表の作成のために可処分所得の計算をする必要があります。キャッシュフロー表に記載する収入は可処分所得であるためです。そのため、可処分所得の計算問題が出題されます。

所得税額の算出

所得金額の計算

会社員等

給与所得控除額は速算表で与えられます。

自営業者

課税所得金額の計算

所得控除

雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、寡婦・寡夫控除、勤労学生控除、障害者控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除の14種類。

所得税額の計算

所得税額速算表が与えられ、課税所得金額の区分による税率と控除額を選択適用します。

住民税の算出

住民税の速算方法としては、道府県民税(4%)と市町村民税(6%)の合計.10%を課税所得金額に掛けます。

私のFP試験受験経験

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